cross.png 3月のメッセージ
トゥ神父
Paulus HA MINH TU, MF
一歩ずつ…

 三月と聞きますと寒さも少しずつ緩み、春の兆しがそこここに感じられます。教会の庭には、冬の間に固くなってしまった土の中に埋もれていた雑草が、いち早く逞しく生え始めています。土の中で新たな芽生えや成長のために、十分力を蓄えることが出来るのは、厳しい冬の寒さがあるからでしょうか。
 社会では、一年ずつ段階を昇っていく子供が新しい幼稚園や学校へ、厳しい冬を越えた受験生が新たな学びの場へ、学校生活を終った若者が社会へ、社会生活の区切りを迎えた人がそれぞれの人生の更なる場へと準備を整えて進んで行く時を間近にしています。
 その規則正しさは、日本の自然の移り変わりと関わりがあることをいつも心に深く感じます。目には見えなくても自然界ではこれ迄の時を振りかえり、次の季節への準備がいつもなされているのです。人間もまた、自然の一部であり、次のステージへと備える為には、これまでのあり方を振りかえる必要があります。
 人は掛け替えのない神様の傑作です。私たちは一人ひとり、いわば神様にこねて頂いて出来上がった器であり、その器をどのように使って生きるかは私たちに委ねられています。聖パウロは「各自で自分の行いを吟味してみなさい」(ガラテヤ6:4)と私たちに呼びかけています。
 一人の陶工がいつも土をこねて器の形を作り、それを焼く時、どんなに自分が過去の記録を見直し、様々な試行錯誤を重ねても、またどんなに精一杯力を入れても、心を込めて準備をしても、その焼き上がりは思うようにはならない、と言っていました。時には思いもしない出来映えで大喜びする事もあるそうですが、次にまた同じように出来る訳でもないのです。すべての条件が誰も気づかないうちに見事に整えられ、働き合う時があるとしか思えません。私たちはただ精一杯、そのときのために、今明日への最高の準備をするだけです。
 どんな時よりも間もなく迎える四旬節を通して自分自身と闘い、周りの人々と和解し、神への祈りを捧げるときです。そのためには、自分自身の振りかえりが必要です。それなしで前に進む事は出来ません。
 高温で何度も焼かれてより良い器が出来るように、回心を通して祈りに支えられながら、私たちの罪や弱さが救いの恵みに一歩ずつ変えられて行くのです。四旬節は正に「今や、恵みの時、今こそ、救いの日」(2 コリント6:2)という聖パウロの言葉通りです。
 この恵みの時に、勇気を持って一歩一歩謙虚に振りかえり、一つ一つの行いをよく吟味する事によって、その後に来る輝かしい復活をよりよく味わいましょう。今こそ祈りのうちに、この時を大切に過して参りましょう。


< 次へ 前へ >
2019.04.07 Sunday
<< 2019年 聖週間などの予定 | TOPへもどる | 4月のメッセージ >>